何軒も同じものを売る店が競い合うと、人は集まる。公園そばの、わかりにくい場所にそのブティックはある。お客がいるのを見たことがない。だが、今日は春色のスカートが気に入った。・ お荷物はここへどうぞ。 ・ 軽いからいいねん。
・ ご試着どうぞ
ファッションショーは ・いっぱい着てきたから
楽しいですよ。 脱いでも、脱いでも
試着不能。
・お紅茶用意してます
ミルク レモン? ・早くかえらないと。
・どなたかお待ちで ・犬が待ってるから
・い、いぬですか ・包んでください
・あ、今ポイントカードを ・それ いらないから
・それなら、映画のチケット
携帯ストラップ
ぬいぐるみ ・・・・・・・
店主は店内のあちこちにぶつかりながら、ギフト小物をいっぱい袋に詰めてくれた。
夕方だったが、私はその日初めての客に違いない。細長い店内を走りまわる店主は、さながら ビリヤード台の上を転がるボールのようであった・・・
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